みやぎ環境とくらし・ネットワーク理事 谷口葉子

 私にとってオーガニックとは、ずばり、熱帯雨林です。熱帯雨林では、多様な生物が誰に指図される訳でもなく、本能のままに活動し、自然な秩序をつくり出します。近代農業が整然と管理された人工樹林だとすれば、有機農業は人の手が入っていない自然林です。ならば熱帯雨林などと言わず、温帯林でいいではないか、と言われるのですが、熱帯雨林と言った方が、私のオーガニックに対する考え方をより象徴的にわかりやすく表現できると感じています。

 熱帯雨林の生物たちは、豊かな生態系を維持する術を本能的に知っているようです。でも人間は、生態系を維持するために必要な行動が、本能に組み込まれていません。生態系を維持する方法を少しは知っていても、十分に行動できていません。だから私は、オーガニックは人間が本来持つべき生存や種の存続のための本能を取り戻す運動だと思っています。
 オーガニックはよく、有機野菜や有機米といった「モノ」として捉えられます。でも、もしかすると、100年後のオーガニックと、今のオーガニックは同じモノではないかもしれません。私は、100年後のオーガニックは、今よりももっと多様な意味を含むものになっているのではないかと感じます。なぜなら、オーガニックはこれまでも、新しい課題を取り込み、膨張を続けてきたからです。つまり、オーガニックは時代と共に変化するものだと思うのです。だから、モノとしてではなく、システムとして捉えることが必要だと思います。
 オーガニックのものを購入することは、自分が食べたいもの(農薬不使用であったり、GMOフリーであったり)を選ぶ権利を行使することです。同時に、オーガニックを購入することで実現される社会へ向けて一票を投じる行為でもあります。オーガニックのシステムをつくること、栽培者になること、購入すること、いずれも、誰に強制されるでもなく、自主的に実践している社会参加であり、社会への影響力の行使です。
 オーガニックをモノとして捉え、その面的・量的広がりだけを目標にしていると、強権的な政策や潤沢な補助金で安易に解決してしまおうという誘惑にかられてしまいます。オーガニックをシステムと捉えていれば、私たちが強い市民社会をつくることやそのための成長の機会を得ることが必要だと感じられるかと思います。オーガニックは参加型社会の実践だという考えに、より多くの人々が共感してくれることを願っています。